【通信大手AT&Tがメキシコ撤退検討】10年の挑戦とその背景とは?
2025年8月、アメリカの通信大手AT&Tがメキシコ市場からの撤退を検討しているとの報道が出ました。2014年の参入から約10年。IusacellやNextelを買収し、満を持して進出したAT&Tですが、メキシコ市場での成功はつかめなかったようです。
そもそもAT&Tってどんな会社?
AT&Tは、アメリカ・テキサス州に本社を置く世界有数の通信企業。固定電話・携帯・インターネット回線などを手がけ、かつてはHBOなどのメディア事業も保有していた巨大企業です。
メキシコには2014年に本格参入し、地場の通信会社であるIusacellとNextel Méxicoを買収。これにより、いきなり市場シェア第3位のポジションからスタートしました。
なぜ撤退を検討しているのか?
一言で言えば、市場での苦戦です。
- 競合のTelcel(América Móvil)がシェア60%以上と圧倒的
- インフラ整備や価格競争で想定以上のコスト
- 既存の契約者基盤を奪えず、契約数は伸び悩み
- 収益が出ず、10年間で赤字続き
また、テレビ事業のライセンスを巡っては、Telcelとの間で摩擦も生じており、通信以外の部分でもストレスの多い展開だったようです。
売却先はあるのか?金額は?
報道によると、AT&Tはメキシコ事業を20億ドル以上で売却したいと考えているようですが、まだ買い手は決まっていません。
メキシコの通信業界全体が成熟・停滞気味であることから、積極的な買収を希望する企業が出てくるかどうかは不透明です。
一方アメリカでは絶好調
興味深いのは、アメリカ国内ではAT&Tが非常に好調だということ。
- 2025年第2四半期の売上は308億ドル(前年同期比+3.5%)
- 純利益は49億ドル、フリーキャッシュフローは44億ドル
- 光ファイバーや5G契約者が順調に増加
- 株価は2025年に入り約22%上昇
- 3年間で株主還元400億ドル超を予定
このように、国内市場に集中することで利益体質を維持しており、メキシコからの撤退は「戦略的選択」とも言えるかもしれません。
在住者にとっての影響は?
AT&Tを使っている方にとって、撤退の可能性は大きな関心事ですよね。現時点では「検討段階」ですが、
- サービス移行・契約引き継ぎの可能性
- 料金プランの変動
- カスタマーサポートの変化
といった点に注意しておいた方がよさそうです。特に日本から赴任・移住してきた方にとっては、キャリア選びに再度見直しが必要になる可能性も。
まとめ
10年越しの挑戦に区切りをつけようとしているAT&T。メキシコでは結果が出ませんでしたが、本国アメリカでは確実に成長を続けています。撤退が決まれば、メキシコの通信業界にも大きな影響が出るかもしれません。
AT&Tユーザーの方は、今後の発表を引き続きチェックしておくことをおすすめします。
個人的な思い出。メキシコに来る直前に取り急ぎ用としてメキシコで使用可能なSIMカードを購入したのですが、そのカードがAT&Tでした。その後Telcelのカードを取ったので、自分との付き合いは2週間ほどで終わっちゃいました。特に何か問題に思っていたというわけではなく、Telcelのシェアが多いのでお店も多く、ということでTelcelに変えちゃいました。自分から去ったのに、10年後とはいえいざメキシコ撤退というニュースを聞くと何か寂しくなります。勝手ですね本当に。
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