ウーパールーパーことアホロートル、メキシコで絶滅の危機に直面
日本では「ウーパールーパー」という可愛らしい名前で知られる生き物、正式名はアホロートル(Axolotl)。
つぶらな瞳と愛嬌のある顔で人気者ですが、その故郷であるメキシコでは今、絶滅の危機にあります。
アホロートルとは?
アホロートルは、メキシコのソチミルコ(Xochimilco)という湖や運河に生息するサンショウウオの仲間で、メキシコ固有種です。
最大の特徴は「幼形成熟」といって、大人になってもエラが残り、水中生活を続けること。
手足が再生できる驚異的な能力も持っています。
メキシコでは古代アステカ時代から神話にも登場し、文化的にも特別な存在です。
日本では絶滅の危機ではない理由
日本国内で流通しているウーパールーパーは、すべて飼育下で繁殖された個体です。
1980年代のブーム期にメキシコから輸入された野生個体をもとに、国内外の養殖場で繁殖が確立されました。
現在、日本で販売されている個体の多くは国内ブリーダー産ですが、まれにアメリカやヨーロッパで繁殖された個体が輸入されることもあります。
つまり、日本では野生個体は存在せず、安定的に繁殖されているため「絶滅の危機」にはありません。
しかし、これらの飼育個体も祖先をたどればすべてメキシコの野生アホロートルに行き着くため、
原産地の環境が失われれば野生への回帰は難しくなります。
なぜメキシコで絶滅の危機なのか
かつてはソチミルコ一帯で豊富に見られたアホロートルですが、1998年には1平方キロあたり約6,000匹いた個体数が、2014年には36匹にまで激減しました。その主な原因は以下の通りです。
- 生息地の破壊:都市化や運河の縮小で住める場所が減少
- 水質汚染:生活排水や農薬による水の汚れ
- 外来種の侵入:ティラピアやコイが卵や稚魚を捕食
環境の悪化は繁殖にも大きな影響を与え、自然界での回復が難しい状況になっています。
最新の調査と希望の兆し
2025年、国立自治大学(UNAM)と保全団体が、ソチミルコで環境DNA(eDNA)を使った調査を実施しました。
運河53地点で水を採取し分析したところ、保護区内10地点でアホロートルのDNAが検出されましたが、
保護区外ではほとんど見つかりませんでした。
さらに2025年4月には、飼育個体を自然に放流した実験で40日間生存が確認され、野生復帰の可能性が高まっています。
ただし、生息地の改善と同時に進めなければ長期的な定着は難しいとされています。
50ペソ紙幣にも描かれる国の象徴
アホロートルは現行のメキシコの50ペソ紙幣の裏面にも描かれています。
ソチミルコの浮島農法「チナンパ」とともに、美しい水辺と生態系を象徴する存在としてデザインされ、
文化と自然の両面で守るべき生き物であることが示されています。

まとめ
日本ではペットとして安定的に飼育されているウーパールーパーですが、その本来の姿はメキシコ固有の絶滅危惧種アホロートルです。
故郷メキシコの自然環境が守られなければ、野生での未来は閉ざされてしまいます。
可愛い姿の裏にある現実を知ることが、保全活動への第一歩です。
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