「Ingeniería」「Ingeniero」とは?メキシコでの使われ方と他国との違いを徹底解説
スペイン語圏のメキシコで働いていると、頻繁に耳にするのが「Ingeniería(インヘニエリア)」「Ingeniero(インヘニエロ)」という言葉です。履歴書なんかでもよく見ると思います。
この「Ingeniería」「Ingeniero」という言葉、すこしメキシコでは少し癖が強くて、
英語では「Engineering」「Engineer」、日本語では「工学」「エンジニア」と訳されますが、日本語や英語のイメージでいると、違和感を持つことになります。
この記事では、「Ingeniería」と「Ingeniero」の意味、メキシコ特有の使われ方、他のスペイン語圏や英語圏、日本人が持つイメージとの違いを解説します。
Ingeniería・Ingenieroの基本的な意味
まずは言葉の定義から整理します。
- Ingeniería(インヘニエリア)
一般的には「工学」または「技術」を意味します。
(例)Ingeniería mecánica(機械工学)、Ingeniería industrial(インダストリアル工学) - Ingeniero(インヘニエロ)
「工学士」「エンジニア」「技術者」を意味します。
工学系の大学学部を卒業すると、正式にIngenieroという称号(Título profesional)を得ることができます。
メキシコにおけるIngeniería・Ingenieroの使われ方
メキシコでIngenieríaという言葉は、次のような特徴があります。
- 非常に広い範囲を指し、「生産技術」「生産管理」「工程改善」「設備保全」「品質管理」など、製造業の現場実務を幅広く含む。
- 必ずしも大学の工学部卒業者だけではなく、技術関連の仕事に従事する人全般に対して使われることも多い。
例えば、メキシコの求人広告では次のような職種が頻繁に出てきます。
- Ingeniero de procesos(プロセスエンジニア、生産工程改善担当)
- Ingeniero de calidad(品質管理エンジニア)
- Ingeniero de mantenimiento(設備保全エンジニア)
これらは日本では「生産技術」「生産管理」「保全担当者」などと呼ばれるポジションですが、メキシコではすべて「Ingeniero」の肩書きが使われるのです。
他国でのIngenieroの使われ方・認識
スペイン
スペイン(ヨーロッパ圏)ではIngenieroという肩書きは、大学の工学系卒業資格を正式に得た専門職を意味し、社会的地位が高く評価されるようです。
中南米
中南米(アルゼンチン、コロンビア、ペルーなど)では、メキシコとスペインの中間的な使い方で、基本的には工学系の大学卒業資格を指すが、製造業の発展している地域ではメキシコ同様に広く使われることもある とのことです。
つまりメキシコのIngenieroは、スペイン語圏の中でも特に広く使われる特殊なケースといえます。
アメリカ
アメリカでは「Engineer」は設計・開発を専門的に行う技術職のイメージが強く、現場の改善担当者は「Technician」という表現が一般的だそうです。
日本
日本では「エンジニア」といえば設計・開発など専門性の高い仕事を連想し、生産管理や現場改善は具体的な職種名で呼ばれます。
●メキシコのIngenieroは、スペイン語圏の中でも特に広く使われる特殊なケースといえます。
●メキシコのIngenieroをそのまま「エンジニア」と訳すと、日本人やアメリカ人は誤解しやすくなります。
注意点:日本人がイメージするIngenieríaとの違い
例えば面接で、「専攻はIngenieríaです」と聞いたら「設計や開発ができる人」をイメージしますが、実際は生産管理や現場改善を意味する場合があります。
通訳時は次のような補足が有効です:
「工学(Ingeniería)を専攻していますが、メキシコでは生産管理や工程改善など幅広い意味で使われます。」
メキシコでIngenieroの肩書きを持つ人のプライド
メキシコでは肩書きで相手を呼ぶ文化があり、Ingenieroという呼称は社会的ステータスの象徴として、本人の誇りに深く関わっています。
- Licenciado / Licenciada(大卒資格者)
- Ingeniero / Ingeniera(エンジニア・技術者)
- Doctor / Doctora(医者、博士号取得者)
【まとめ】
- メキシコではIngenieríaの意味が広く、実務的
- 他国では専門的で社会的地位が高い傾向
- 通訳時は補足説明が必須
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