メキシコのスペイン語は縮小辞だらけ!?diminutivos の世界
スペイン語を勉強していると、「縮小辞(diminutivo)」という文法が登場します。語尾に -ito / -ita をつけて「小さいもの」や「かわいらしさ」「やわらかさ」を表現するものですね。
中南米、特にメキシコでは多用されることはレッスンでも色々な先生から聞いていましたし、テキストやネットの情報でも知っているつもりではいました。
実際にメキシコに来てみると、想像以上でした。
本当にもう、なんでもかんでも縮小辞がついてくる!
例えば:コーラが「コキータ」!?
日本では「コーラ」や「コカ・コーラ」と呼ぶのが普通ですが、メキシコでは小さいサイズのコーラを coquita(コキータ) と呼ぶことがよくあります。
最初は「コキータ?それ何?」とまったく意味がわからず、聞くたびに戸惑いました。でも「coquita = 小さいコーラ」という使い方に慣れると、「あぁ、なるほど!」とスッと意味が入ってくるようになります。
ただし、知らなければ完全に意味不明。
現地の人たちが自然に使っている表現でも、最初はまるで暗号のように感じることも多いです。
grande も変身!?「大きくてかわいい」表現
さらに驚いたのが、「大きい」という意味の grande にまで変化が起こること!
grandote(グランドーテ) や grandota(グランドータ) のように、拡大辞 -ote/-ota をつけて、「めっちゃ大きい」「大きくて親しみのある」ニュアンスを加えることがあります。
「大きいのに縮小辞っぽい響きってどういうこと?」と思いますが、メキシコでは 感情・距離感・ニュアンスを語尾でコントロールするのがとても自然なんです。
よくあるメキシコの縮小辞・拡大辞の例
- momentito(moment→ちょっと待っての「ちょっと」を強調)
- ahorita(今すぐ or そのうち…文脈で意味が変わる不思議な単語)
- cafecito(小さいコーヒー、親しみを込めて)
- casita(おうち、小さくてかわいらしい感じ)
- coquita(コーラの小さいサイズ)
- grandote / grandota(大きいけど親しみがある、でっかい)
番外編:favorzoteって何?お願いごとにもサイズがある!?
ある日メキシコ人から「¿Te puedo pedir un favorzote?(ちょっと大きめなお願いしてもいい?)」と言われて、またまたびっくり。
favor(頼み)+ -ote(拡大辞)= favorzote。つまり、「ちょっと重めのお願い」を柔らかく伝える表現なんです。
一方で、「favorcito(ファボルシート)」と言えば、「ちょっとだけお願い♡」というかわいらしい響きに。
このように、お願いのサイズや感情までも語尾で表現するのがメキシコ流。縮小辞だけでなく拡大辞も合わせて使いこなすのがポイントです。
メキシコ語の背景にある文化:先住民族の影響も
こうした -ito/-ita、-ote/-ota といった語尾の使い方は、メキシコのスペイン語の特徴のひとつですが、その背後には、先住民族の言語文化が関わっているとも言われています。
ナワトル語やマヤ語など、今も多くの先住民族言語が使われているメキシコでは、言葉に感情をのせる表現方法がとても豊か。スペイン語にもその文化が自然と取り込まれているのです。
つまり、ただの語尾の変化ではなく、人との距離感、優しさ、あたたかさを伝えるための「感覚的な語彙」だとも言えます。
まとめ
- メキシコでは縮小辞(-ito/-ita)や拡大辞(-ote/-ota)が日常的に使われる
- coquita、grandote、favorzoteなど、知らないと戸惑う表現も多い
- これらは親しみ・感情・丁寧さを表現するための言語文化
- 背景には先住民族の言語や価値観の影響もある
メキシコに来るスペイン語学習者にとって、こうした語尾表現は最初こそ戸惑いますが、知っておくとコミュニケーションがぐっと楽になりますよ!
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