メキシコ人は外国人がメキシカンフードで涙を流しているところを見るととてもうれしそうなんです
メキシコといえば「辛い料理」のイメージが強いですが、実際に住んでみて感じたのが、「メキシコ人は辛いものを外国人に食べさせたがる」という傾向。“あるある”です。
たとえば職場や友達の集まりなどで、何かしらのソースやチリが登場すると、なぜか満面の笑みで「これ食べてみて!」と勧めてくることが本当に多いです。そして私たち外国人側が「うっ……!」と顔をしかめたり、「辛い〜!」と反応するのを見るのがどうやら楽しい様子。「で、どうだった?めっちゃ辛かったでしょ?」と追い打ちをかけるように聞かれることもしばしばです。
一度、「普通だったよ」と答えてしまったことがあるのですが、その時の相手の反応といったら……どこか寂しそうな、がっかりしたような顔をされてしまいました(笑)。どうやら、期待されているリアクションは「うわー、すごく辛かった!涙出た!」みたいな“劇的なリアクション”のようです。その時の空気を読めなかった自分のせいで気まずくなった空気が忘れられなくて、本当にごめんなさいと思いつつたまにフェイクします。
ちなみに、メキシコで「辛い?」と聞かれるときによく使われるスペイン語の表現が「¿Pica?(ピカ?)」という言い方です。動詞 picar(刺す、ヒリヒリする)が由来で、「辛い」と言いたいときによく使われます。「Sí, pica mucho.(うん、すごく辛いよ)」などと答えると、自然に聞こえます。
でも実際のところ、すべてが超激辛というわけでもありません。メキシコのソース(サルサ)にはさまざまな種類があり、ハバネロ系のものは確かにパンチが効いていますが、マイルドなものも意外と多いんです。選べば、全然食べられるレベルのものもありますし、少量なら美味しさを引き立ててくれるものもあります。問題は、料理が見えなくなるほどソースをかけてしまうと、もはや“味わう”どころではなくなることですね。
メキシコ人の中には、そういった辛さを「文化の一部」として誇りに思っている人も多く、辛いものを共有することで距離が縮まる感覚もあるのかもしれません。「この辛さを体験してこそ、真のメキシコ!」という気持ちがあるのかも。
辛いものが得意な人も、苦手な人も、メキシコに来たら一度はこの“辛さチャレンジ”を避けては通れないかもしれません。できれば、涙目になってあげるのが、メキシコ人の期待に応えるコツかも……?
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